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女性歌手が「35歳を過ぎると羊水が腐ってくる」と発言してヒンシュクを買いましたが、「腐る」はもともと罵倒によく使われる言葉なので、もし誰かと喧嘩をしたいときは次の用例も参考にするとよいでしょう。
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悪口の場合は、実際には腐敗することがないもの、抽象的なものにも「腐る」を使うことができます。
空気が腐っているとする用例
*黒潮〔1902〜05〕〈徳富蘆花〉一・七・六「日本の空気は薩長の吐き出す毒瓦斯(ガス)に腐れきって居る」
その解説
「薩長」すなわち、薩摩藩と長州藩が政治を支配する害を「毒瓦斯」にたとえています。このような比喩では空気が「腐る」ともいいますが、事故などで有害ガスが発生したら、空気が「汚染された」といい、「腐敗した」とはいいません。
近年は「空気が腐る」は、場の雰囲気に合わないことを非難する意味で用いられることもあります。「空気が読めない」ほど広く知られていませんが、これもいじめで使われるようです。
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人体の部分が腐っているとする表現、たとえば「脳が腐っている」などは、ふつう疾患をいうものではなく、悪口です。しかし、疾患に対する差別的な表現とまぎらわしいので注意が必要です。
腸(はらわた)が腐っているとする用例
*にごりえ〔1895〕〈樋口一葉〉七「ああ腸(ハラハタ)が腐った人は子の可愛さも分かりはすまい」
その解説
娼婦と深い関係になり、家庭をないがしろにする夫に妻がいう台詞です。現代の女性なら「根性が腐った人」というところでしょう。
日本語には腹部に感情や人格の核があるような表現が数多くあり、日国では「腸が腐る」を慣用句として「腸」の小見出しに立てていますが、現代では「腸」という語自体が日常で使われることが少なくなりました。魚の切り身しか買わない人は「魚のはらわた」という言いかたにもなじみがないようです。
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何かを罵倒するときは、名詞の前に「腐(くされ)」をつけるという手もあります。日国の見出し語にあるのは「腐女(くされおんな)」「腐儒者(くされじゅしゃ)」「腐伊達者(くされだてしゃ)「腐論(くされろん)」など数が限られますが、これらを参考にすれば罵倒語がつくれます。というのも野暮なほど、すでに多くの方々がせっせと新語をつくっているようです。もしあなたがインターネットで「腐れ」を検索すると、関連検索の欄に現代的な罵倒語が並ぶでしょう。
「腐」で金を罵倒する用例
*浄瑠璃・心中刃は氷の朔日〔1709〕上「五両にたらぬくさりがね(腐金)、宝の山とおしみをる」
その解説
現代語にすると、「五両にもならぬ小金を、宝の山のように惜しんでいる」。このように金額の少なさを「腐」で表現するほか、金を得た手段の不当さをいいたい場合にも用いられます。
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「腐る」に関連したことばの中でも、ほめる意味を含むのが、「腐っても鯛」です。今は貧しいが良家の生まれで品がある、逆境にあってパッとしないが実力がある、やっぱり雑魚とはちがう、といった気持ちで用います。ただし、本人に面と向かって言うことばではありません。「腐って」いる自覚がない本人が聞いたら激怒するかもしれません。
腐っても鯛子さんの用例
*浮世草子・浮世親仁形気〔1720〕四・二「布子着せても美人には人が目を付る。くさっても鯛(タイ)とはよういうた物じゃ」
その解説
現代語にすると、「貧乏臭い綿の綿入れを着せても美人には人の目が集まる。腐っても鯛とはよくいったもんだ」。現代でもこの手のタイプの人はたくさんいますが、もともとの姿が美しい鯛子さん鯛夫さんであればこそ、なれ鮨のように言われるのは不満でしょう。
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