寒い時期に生まれた子供は一歳になった。
体重は生まれた時の倍以上、8kgを越え、きっちりと重い。そのせいかどうかギックリ腰が再発したりもしたが、冬場の散歩はやはりベビーカーではなくだっこひもで、ということになっている。親も寒い、子も寒い。ならばくっついて暖をとろうという考え方だ。
子守りの散歩とはいえ、今のところ「魚屋つまんない、遊具があるところにいけ」などという要求はないので、近場なら、という限定つきではあるが、まだ私が好きな場所へいくことは可能なのだった。その場合も、ベビーカーよりは小回りがきくだっこのほうが散歩を楽しめる。
様々な食料品を商う店が並んだ、デパ地下の一画を歩いていた。子供はすでに寝ついており、ちょっとした買い物をすませつつ、
商品見物を楽しんだ。うまそうな鮮魚が並ぶ魚屋さんに、その手書きの札はあった。
「新ガタ 赤ナマコ」
……新型?
立派な赤茶色いナマコがトレイの水の中に横たわっている。たしかに、以前見たナマコよりかっこいい気がしないでもない。それにしても生き物に新型はないだろう。遺伝子組み換え生物だとでもいうのだろうか。
10秒ほど考えたが、答えは「新潟」であるのだった。
新潟産か。よかった、攻撃力やスピードが倍になったようなナマコじゃなくて。
「潟」の字を書けるか、と問われれば自分も不安なので、カタカナ表記にした魚屋さんの気持ちはよくわかる気がした。
わかったからといって、ナマコは買わないのだった。好物なのだが自分でさばいたことはない。怖いのか? そうかもしれない。
今後の課題としたい。

