第 9回 テレビの番組終了後の「砂嵐」はザーザーではない!?

 中学生のころ、「テレビ番組の放送がすべて終了した後の深夜になると、「砂の嵐」というすごい番組が海外から流れてくるらしい」という噂が広まったことがある。眠い目をこすりながらテレビの前に座っていると、当然のことながらそこに待っているのは、電子顕微鏡によるバクテリアの拡大写真のような画面と耳障りなノイズ。それでもすぐには騙されたと疑わず、もしかしたら海外の電波は受信状態が悪いのではないかと、今回の一枚:クリックすると大きくなります目を細めたり画像調整のつまみをいじったりとあれこれ必死になった覚えがある。その苦い経験からほどなくして、あのようなTV放送終了後の状態を「砂嵐」と呼ぶことを学習したのであった。「スノーノイズ」と呼ぶこともあるようだ。

 その「砂嵐」の様子をことばで表現すれば、誰もがザー、ザーザー、ザザーなどと言うに違いない、などと思っていると、なんと福井ではジャミジャミと表現するのだ。あの様子をどうしてジャミジャミと感じるのか、あるいは福井県人にはジャミジャミと聞こえてしまうのか、なんとも不可思議である。よもや福井だけに特別な電波が飛んでくるわけでもあるまい。

 いろいろ調べていくと、北陸地方の古い方言に「じゃみじゃみ」ということばがあり、「織物の織り目のはっきりしない様子」を表していたらしい。見方によっては「砂嵐」と似ているようにも思える。また、福井を含む西日本の広い地域では「お手玉」を意味する「おじゃみ」という方言が使われている。語源はお手玉の中味である小豆の擦れ合う音に由来するという説もあり、こちらも何か関連があるかもしれない。

 ちなみに沖縄では「ジラジラしてる」と表現するようだ。

 擬音語や擬態語で表現される様子は、誰もが同じ感覚で捉えられそうだが、出身地が異なれば感覚も変わってくるのである。

 ところで、ザーザーもジャミジャミもジラジラも、いずれもザ行の濁音でノイズの不快感を表そうとしている点では共通しているのである。

第 9回 テレビの番組終了後の「砂嵐」はザーザーではない!?