第12回 東西対決「ささくれ」「さかむけ」  勝者は?

 子どもの頃に、「ささくれができるのは親不孝の証拠だ」という俗信を聞かされたことがある。爪の生え際の皮が荒れて、指の根元の方に細かくむけると痛くて母親の炊事の今回の一枚:クリックすると大きくなります手伝いができなくなるからだ、などともっともらしい俗説を聞かされたものだ。とにかく母親の手伝いをしなさいという教訓のつもりなのだろう。

 それはそうと、最近ではそのささくれを治す薬があるらしい。その名も“サカムケア”(写真1)。TVでもCMが流れ、全国に流通しているようだ。筆者自身も都内と大阪のドラッグストアに堂々と並べられている姿を確認した。しかし、オーラルケア、スキンケアならわかるが、“サカムケア”とは何事だ!

 国語辞典で「ささくれ」をひくと、語釈の末尾に「さかむけ」と言い換えられている。ある辞書に至っては、「ささくれ」の見出し語の下に「「さかむけ」に同じ」などと、主導権を「さかむけ」に譲っているのである。

 実際に調べてみると、ササクレは東日本、サカムケは西日本とそれぞれ勢力範囲がほぼ東西に分かれている。確かにサカムケアの発売元である小林製薬の本社は大阪にある。「さかむけ」と「━ケア」を組み合わせたネーミングは大阪らしいユーモアのセンスを感じさせる。ちなみに小林製薬からは、ふくらはぎの筋肉がつる「こむらがえり」による痛みを治す「コムレケア」も発売している。もはや脱帽するしかない。

 先日、大阪市内のドラッグストアをのぞいたときに、サカムケアの隣にひっそりと並んでいたのが「あかぎれ・さかむけ保護フィルム」(写真2)。パッケージを見ると、製造元の「東洋化学」は滋賀県の会社だ。
東日本勢も黙ってはいない。その名も「ささくれ・ひび割れ手肌ガード」(写真3)。東京に本社があるポーラ・オルビスグループのpdcという会社の商品だ。まさに東西の全面戦争と言いたいところだが、サカムケアの全国進出で「ささくれ」は分が悪いようだ。

    
    
(写真1)

写真1    

(写真2)

写真2    

(写真3)

写真3    

                   
第12回 東西対決「ささくれ」「さかむけ」  勝者は?