第13回 まっさか面白いコラム?

 「このケーキいきなりおいしい!」、仙台出身の学生が発したひと言に一同今回の一枚:クリックすると大きくなります「はぁ???」。

 宮城では「いきなり」を、強調の表現「とても、非常に」の意味で使うのだ。共通語では「いきなり泣き出した」「いきなり話しかけられた」のように、物事が突然生じることを表すが、「突然おいしさが脳を刺激した」とでもいうような感覚なのだろう。

 ちなみに「いきなり団子」は熊本のお菓子。語源説はいろいろあるらしいが、そのひとつに「突然の来客にも短時間で出せる菓子」という説があり、やはり共通語の意味である「突然」が関わっている。

 強調を表す言い方は地域ごとのバリエーションが豊富であるが、今回は東日本の例を見てみよう。

 数年前に女子高生の間で人気になった「なまら」は北海道の方言として有名だが、実は新潟でも使われている。この「なまら」、「なま乾き」「なま煮え」などと言うように、「中途半端」な意味を添える「なま」と「ほぼ半分の量や大きさ」を表す古語の「なから(半ら)」とが合体してできたことばだと思われる。新潟の高年層では、「およそ」の意味で使われているが、若者を中心に「とても」の意味が広がっていったようだ。先日、お隣の長野に行ったら、宴会の席で老若男女が「ほぼ、だいたい」の意味の「なから」を当たり前のように連発していた。『枕草子』や『源氏物語』に見られる用法が活き活きと使われていてびっくりしたものだ。

 青森の「たんげ」は、「ほとんど」や「だいたい」を意味する「たいがい(大概)」が変化したことば。「このコラム、たんげおもしぇー」と言われたいものだ。

 静岡の「えーかん」は「いいかげん(好い加減)」からの変化。「今日はえーかん暑い」という強調のほか、量が多かったり程度のはなはだしい状況に出会ったりしたときに、「えーかん!」と感嘆の声をあげる。共通語だったら「すっごーい!」というところか。長野では、「いーかん」という形で「おおよそ、だいたい」というもとの意味を維持している。

 「おおよその状態」を表していたことばが強調の意味に広がっていく例は共通語にも見られ、「かなりいいねぇ」などと強調するときの「かなり」も、室町時代の文献には「可也 さのみよくもなくあしくもなく、心よき事を云なり」と記されている。

 群馬の「まっさか」は「まさか」に促音が加わりダブルで強調しているようだ。「まさか」は、今でこそ、「彼に限ってまさか締め切るに遅れることは無いだろう」のように「そういう事態がありえない」ことを強調するが、江戸時代には肯定的な強調の意味でも使われていたようだ。群馬の読者に「今回のコラム、まっさかいいねー」と言われたら、予想外に良い出来栄えだったというわけではないのである。

第13回 まっさか面白いコラム?