第15回 お歳暮のお礼状(次回から贈り物を辞退したいとき)
 
 年の瀬を迎え、デパートの催事場なども、お歳暮を選ぶ人で賑わいを見せていますね。
「お中元」の折に、贈り物の送り状・添え状について触れましたが、贈り物を受け取る側もお礼状を書くことを忘れたくないものです。
 お礼状は、通常、いただいた品物や心遣いへのお礼の言葉を書くものですが、時にはお礼に加えて、次回からの贈答を断る旨を伝えたいという場合もあります。例えば、職務上、決まりがあって贈答品を受け取れないような場合や、頼まれ仲人で、若夫婦からのお中元をもらったが、次回からは断りたいといった場合などがそうです。相手のせっかくの厚意に対して辞退を申し出るのは心苦しく、どのように書くべきか迷うものですね。次回からは辞退する旨を書き添えるようなお礼状では、どのような文面が好ましいか、次の文例を見てみましょう。


【文例1】 仲人から若夫婦へ
 師走に入り、街も何かと慌ただしさを増しているようでございます。
お二人ともお元気でお過ごしのご様子、何よりのことと存じます。
 さて、本日はお心遣いをいただきまして、ありがとうございます。いつも何かと
お心にかけていただきまして、あたたかなお気持ちに感謝申し上げます。私どもの
ほうこそ、日ごろご無沙汰ばかりで何のお役にも立てませんのに恐縮しております。
どうか今後はお気遣いなさいませんように、お願い申し上げます。
 ますます寒さ厳しくなります折、どうかお体大切に。
お二人のますますのお幸せを心よりお祈り申し上げております。

【文例2】 取引先の方へ
 日頃は何かとお世話になりまして、感謝申し上げます。
またこのたびは、お心遣いのお品をいただきまして、まことに恐縮に存じます。
ご厚意はたいへんありがたく存じますが、実は当社ではご贈答品はいただかない
という規則がございます。今回に限りましては、ありがたく頂戴したく存じますが、
どうか今後はお気遣いなさいませんよう、お願い申し上げます。
せっかくのあたたかなお心遣いに対し、堅苦しいことを申しますようで、たいへん
申し訳なく心苦しい限りでございますが、どうかお気を悪くなさいませんよう、
なにとぞご理解のほどお願い申し上げます。
どうぞ今後とも変わらぬお付き合いのほど、お願いいたします。
 略儀ながら書面をもって、お礼、お詫び申し上げます。


 何らかの理由があって受け取ること辞退する場合でも、品物だけを返送したり、理由も述べずに断ったりするのは失礼なものです。まずは相手の厚意に対してきちんとお礼を述べ、礼を尽くすことが大切です。そのうえで、例えば社内の決まり事で品物を受け取れないなどの事情を申し述べ、やんわりと辞退しましょう。
 「ご厚意(お気持ち)は、ありがたく存じますが、○○の事情があり受け取れませんこと申し訳ございません」「お気持ちのみありがたく頂戴いたします」「ご厚意を無にするようで、まことに心苦しい限りでございますが、どうかお気を悪くなさいませんように」「失礼の段、なにとぞお許しくださいませ」とお願いを申し上げる姿勢で言葉を選びましょう。
 相手の厚意を断るような手紙の場合、相手の気持ちを壊すことのないよう、事情を察して理解してもらえるように、という姿勢と配慮が何より大切です。
   
井上明美プロフィール
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▽コラム
はじめに
第 1回「手紙の役割・言葉の魅力」 (2011/04/18)
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第 5回「するめ」と「あたりめ」 (2011/06/21)
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第15回 お歳暮のお礼状(次回から贈り物を辞退したいとき) (2011/12/07)
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