よくある質問 Q&A
よくある質問Q&A

 国語辞典編集部には、辞典の内容について、また日本語全般について、さまざまな質問が寄せられます。 そのなかからいくつかを選び、回答例とともに掲げてみました。
 Q&Aを読んでみると、知っているようで意外と知らない辞典の引き方や各々の辞典での約束事など、 思わぬ発見があるかもしれません。

Q1   調べたい語が見つからない(1) ――長音と拗促音(ようそくおん)
Q2   調べたい語が見つからない(2) ――子見出し
Q3   調べたい語が見つからない(3) ――"V"の表記
New! Q4   調べたい語が見つからない(4) ――「十」の読み方
Q5   「ギリシア」なのにポルトガル語?
New! Q6   アメリカをなぜ「米」と書く?
Q7   国語辞典で「後朝」の読みを調べるには?
Q8   辞典の見出しにある丸い点は何?
New! Q9   「ツールーズ」と「トゥールーズ」は違う町?
Q10   「地蔵」は「ぢぞう」では?
Q11   「御用達」の正しい読み方は?
Q12   「白衣」は「ハクイ」? 「ビャクエ」?
Q13   「桃栗三年柿八年」に続く文言は?
Q14   新語の収集のしかた
New! Q15   「歴史的かなづかい」が分からなくて、古語辞典がうまく引けない
Q16   漢字が何画かわからない
Q17   くっつくか、突き出るか
Q18   「々」って何?
Q19   呉音・漢音・唐音って何?
Q20   漢和辞典の部首の分け方
Q21   国字って何?
Q22   「づつ」ではなく「ずつ」?



Q1 調べたい語が見つからない(1)――長音と拗促音(ようそくおん)

「ドーナッツ」という語を調べようと探してみましたが、見つかりません。「ギョウザ」も見つかりません。 どのように探せばいいのでしょうか。

 つまり、「ドーナッツ」は「ドオナッツ」と考えます。また、小さな「ッ」は大きな 「ツ」と同じ扱いになります。そこで、「ドーナッツ」は「ドオナツツ」と引くことになります。 でもこの語の場合一般に「ドーナツ」の形で見出しを立てていることが多いようです。
 「ギョウザ」は小さい「ョ」を「ヨ」と考えますので「ギヨウザ」で引きますが、おっしゃるとおり この形では載っていないことが多いようです。これは、「餃子」をカタカナでどのように表記するかに よります。たいていの場合、「ギョーザ」で見出しが立っているようですので、「ギヨオザ」の並びを 探していくと、「ギョーザ」にたどり着くことができます。

  このように、カタカナ語の場合は読み方と表記(書き表し方)の対応が一通りでないことが多いよう ですので、最初に引いた表記で探せない場合は、違う表記に直して引いてみるとよいでしょう。   各々の辞典によって、見出し語の並べ方のルールは多少違うようです。並べ方は、ふつう辞典巻頭の 「凡例(はんれい)」に掲げてありますので、ご確認ください。


Q2 調べたい語が見つからない(2)――子見出し

「森羅万象」という語の意味を確認しようと思って、『大辞泉』を引いたのですが、私の探していることばは見つからなくて、江戸時代の人物についての解説だけがありました。どこを見たらいいのでしょう。

 「森羅」の見出しの中に「森羅万象」という子見出しがあり、そこで解説しています。 「森羅万象」は、「森羅」という語と「万象」という語が結合して、 新たに一つの語として意味をもつようになったものです。これを複合語と呼んでいます。
 辞典の中では、こうした複合語はそのままの見出しを立てずに、ふつう、語を構成する最初の語 (部分)の見出しの中に従属する形で並べています。この並べ方は、ほとんどの辞典が採用しています。 そして、「森羅」にあたる見出しを「親見出し」、「森羅万象」にあたる見出しを「子見出し」と呼んでいます。  調べたい語が見つからない場合には、「子見出し」として載っていないかどうか、探してみてください。


Q3 調べたい語が見つからない(3)――"V"の表記

 クラシック音楽が好きで、その関連のことばをよく引きますが、『大辞泉』には「アイーダ」も 「プッチーニ」も載っているのに、「ヴェルディ」が見あたりません。どうしてですか。

 大辞泉』では、「ヴェルディ」は、「は行」の「ベルディ」として立項しています。 音楽愛好家の方には「ベルディ」の表記は違和感を禁じ得ないものとは思いますが、 凡例にありますように、本書では「ヴ」の表記は統一的に用いないことになっていますので、 「ベルディ」の見出しになりました。外来語の "V" の音を「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」の表記を使うか「バ」「ビ」「ブ」「ベ」「ボ」 で表すかはそれぞれの辞典の編集方針によって違ってきます。お探しの語が見当たらない場合は、 凡例をご確認の上、お探しいただければと思います。


Q4 調べたい語が見つからない(4)――「十」の読み方

 「十中八九」という語の意味を調べたいのですが、「じゅっちゅうはっく」と引いても辞書に見あたりません。 この語は掲載されていないのでしょうか。

 お問い合わせの語は、小学館の大部分の国語辞典に掲載されています。ただ、「じゅっちゅうはっく」ではなく 「じっちゅうはっく」で掲載されていますのでご注意ください。
 「十」には「ジュウ」「ジッ」という音があります。「ジュウ」がほかの言葉といっしょになったとき、 促音化して「ジュッ」という発音になったとお考えなのだと思いますが、この場合は「ジュッ」ではなく、 「ジッ」というもう一つの音で読んでいることになります。よって、国語辞典では「じっちゅうはっく」 の見出しで立項されているわけです。
 6同じような例で、「十干十二支」「十把一絡げ」なども「じゅっかん…」「じゅっぱ…」ではなく、 「じっかんじゅうにし」「じっぱひとからげ」で掲載されています。また、「二十世紀」は 「にじゅっせいき」ではなく、「にじっせいき」で立項されています。


Q5 「ギリシア」なのにポルトガル語?

『大辞泉』の「ギリシア」の見出しの下に、【ポルトガル Grecia】とあります。ギリシアなのに、どうしてポルトガル語表示なのですか。

  これは、日本語として使われてる「ギリシア」という呼称がポルトガル語の「グレーシア」 に由来するということを意味しています。本国のギリシアでは、全く別の呼称があるのですが、 それは、日本語を記述する国語辞典としての範疇を越えていることですので、記していません (ちなみにギリシア語での呼称をローマ字で書くとEllasまたはHellasとなります)。 これは、イギリス、ドイツなどに関しても、同様です。外来語の原語の記述のしかたは 各辞典によって異なりますので、これも凡例でご確認いただけたらと思います。


Q6 アメリカをなぜ「米」と書く?

 「米国」「日米協議」などのように、アメリカのことを「米」と書きますが、 どうして「アメリカ」が「米(ベイ)」なのですか。発音上は何のつながりもないように思います。

 これはアメリカを「亜米利加」と書くことによります。昔は外国の国名や地名などを 漢字で書き表す習慣がありました。今日ではこれらはほとんどカタカナで書きますが、 とくに短く表現する必要のあるときは、次のような漢字一字を使うことがあります。 それぞれかっこ内に示した漢字表記からとられた一字です。

アジア 亜(亜細亜)
インド 印(印度)
イギリス 英(英吉利)
イタリア 伊(伊太利亜または伊太利)
スペイン 西(西班牙)
ドイツ 独(独逸)
フランス 仏(仏蘭西)
ロシア 露(露西亜)


Q7 国語辞典で「後朝」の読みを調べるには?

 『大辞泉』にある「後朝」の見出しについて。これを「きぬぎぬ」と読めないと辞典を引けないですね。 国語辞典は読めないことばは引けないのですか。

 『大辞泉』で「後朝」の読みを調べる方法ですが、これは、「ご(後)」の漢字項目を見ていただきますと、 その難読の欄に「後朝(きぬぎぬ)」とあります。ご指摘のとおり、国語辞典では 読み方がわからないことばは引けないという悩みがありますが、この便利さが本辞典で試みた 新しい特長の一つです。なお、この語は「こうちょう」でも見出しが立っています。ご参考までに申し添えます。


Q8 辞典の見出しにある丸い点は何?

 国語辞典の見出しには、「はな・す」「あかる・い」のように、「・」が入っているものがあります。 これは、何のためにあるのですか。

 見出しの「・」は、このしるしの下からこの言葉が活用することを示しています。 ご質問の「はな・す」「あかる・い」のような、動詞、形容詞のほかにも、 形容動詞、助動詞などの活用する語に示してあります。
具体的には、たとえば「はな・す」でしたら、 「はな・さない はな・した はな・す はな・すとき はな・せば はな・そう」のように、 「・」印の下が変化するわけです。


Q9 「ツールーズ」と「トゥールーズ」は違う町?

 フランス南部の町Toulouseが、地図帳では「トゥールーズ」なのに、 手元の辞典では「ツールーズ」となっています。解説を読むかぎりは同じ町のようですが、 どうして書き方がこんなに違うのですか?

 現代の国語の中で外来語を書き表すときの拠り所として、『外来語の表記』が内閣告示されています。 その中には、外来語や外国の地名・人名を書き表すのに一般的に用いる仮名を掲げた第1表と、 なるべく原音や原つづりに近づけて書き表そうとする場合に用いる仮名を掲げた第2表とが載って います。「ツ」は第1表に、「トゥ」は第2表に示された仮名です。
 表にはさらに続けて留意事項が並んでいますが、原則的な留意事項の一つとして、 『第2表に示す仮名を用いる必要がない場合は、第1表に示す仮名の範囲で書き表すことができる。 例 イェ→イエ ウォ→ウオ トゥ→ツ』と記されています。
 つまり、「トゥールーズ」はフランス語のつづり・発音により近づけようとした表記で、 「ツールーズ」は従来の国語の枠の中で処理した場合の表記といえるでしょう。『大辞泉』 のような大きな辞典をみると、あくまでも「ツールーズ」が本項目ですが、「トゥールーズ」 という形も検索のためのサービス見出しとして項目が立てられています。


Q10 「地蔵」は「ぢぞう」では?

「地蔵」は「じぞう」で見出しが立っているようですが、 この「じ」は「ぢ」とすべきではないですか。

現在発行されている多くの国語辞典は、昭和六十一年(1986) 内閣告示「現代仮名遣い」を基準にして見出しを表示しています。 ここでは、この「現代仮名遣い」の中で、「じ」「ぢ」・「ず」「づ」の使い分け を記述している部分について要約して説明いたします。

【「現代仮名遣い」内閣告示(要約)】
次のような語は「ぢ」「づ」と書く。
(一)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
例:ちぢむ(縮む) つづく(続く)
(二)二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
例:いれぢえ(入れ知恵) こぢんまり
みかづき(三日月) もとづく(基づく)
なお、次のような語については、二語に分解しにくいものとして、「じ」「ず」と 書くことを本則とし、「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
例:せかいじゅう(世界中)……「せかいぢゅう」と書いてもよい。
いなずま(稲妻)……「いなづま」と書いてもよい。
[注意]次のような語の中の「じ」「ず」は、漢字の音読みでもともと濁っているもの であって、上記の(一)(二)にはあたらず、「じ」「ず」を用いて書く。
例:じめん(地面) ぬのじ(布地) ずが(図画) りゃくず(略図)

ご質問の「じぞう(地蔵)」は、この [注意] の記述に該当することになり、 国語辞典ではこの基準に従って「じぞう」で見出しを表示しています。


Q11 「御用達」の正しい読み方は?

 「御用達」は「ごようたし」と読むべきで、「ごようたつ」は誤りと信じていましたが、 『大辞泉』では後者の読みも容認されています。確かにそういう読み方をする人が増えていますが、 時代の流れのほうに合わせるということでしょうか。

 「御用達」は古語辞典等によりますと、もともとは「ごようたつ」と読んでいたようです。 実際、いくつかの古語辞典では、「ごようたつ」で見出しを立てています。 のちに、「ごようたし」が慣用的な言い方として一般化し、現代に至ったようです。『 大辞泉』では、この事情から、見出し語としては現代語として一般的な「ごようたし」だけを掲げ、 その中でかつては「ごようたつ」とも読み、現代でもこの名残があることを(「ごようたつ」とも)とすることで示しました。


Q12 「白衣」は「ハクイ」? 「ビャクエ」?

 国語辞典を引くと、「白衣」は「ハクイ」という読み方の見出しと「ビャクエ」 という読み方の見出しと二とおり立っています。これはどうしてですか。

 同一の漢字でも異なった音を持っているものがあります。漢和・漢字辞典にも区別してある漢音、 呉音、唐宋音などと言われるものです。それによりますと、「白」は漢音では「ハク」 、呉音で「ビャク」となります。「衣」は漢音で「イ」、呉音で「エ」となります。ですから、 「白衣」を漢音で読みますと「ハクイ」、呉音で読みますと「ビャクエ」となります。
 医者や看護婦の着る衣服、化学の実験などで着る衣服は、漢音で「ハクイ」といいます。 漢字熟語は多く漢音で発音されますから、今日では「ハクイ」が一般的ですが、 古典では「ビャクエ」と呉音で読む例も見られます。また、仏典はふつう呉音で読みますから、 仏教関連のことばでは「ビャクエ」と読みます。
漢音、呉音、唐宋音については、Q15の項も参考になさってください。


Q13 「桃栗三年柿八年」に続く文言は?

 「桃栗三年柿八年」という言い回しには確か何か続く文言があったと思いますが、 国語辞典にはそれが載っていません。どのような辞典を見れば載っていますか。

 「桃栗三年柿八年」はそれだけで使うことが多いうえに、あとに続く文句は 地方によって違うものがあるようで、スペースの都合もあって、国語辞典にはあまり 続きが載っていないのではないでしょうか。 故事成語やことわざ・慣用句などの辞典にはもう少し詳しい記述を 見ることができると思います。小社刊『故事俗信ことわざ大辞典』には、次のように載っています。
 桃栗三年柿八年 芽生えてから実が結ぶまでに、桃と栗は三年、 柿は八年かかるということ。各地で言われ、この下に「柚(ゆず)は九年」、 「柚は遅くて十三年」「梅は酸いとて十三年」「梅は酸い酸い十八年」「枇杷(びわ) は九年でなりかねる」「枇杷は九年で登りかねる 梅は酸い酸い十三年」 「柚のばかめは十八年」などの句をつけても言われている。


Q14 新語の収集のしかた

 新語の収集はどうやってするのですか。また、この語は辞典に載せ、 この語は載せないというのは、どうやって決めるのですか。

 新語最前線の『例文で読むカタカナ語の辞典』を例にとります。新語採集にはいろいろな 方法がありますが、基本としているのは、実は意外かもしれませんが、カード作成という地道な方法です。 現在、数人の方に協力をあおぎ、新聞・雑誌から継続的に言葉を集めています。 記事本体からだけではなく、広告欄や挟み込みのちらしも対象にしています。新しい言葉、 新しい使い方が含まれる記事などを切り抜き、カードに貼り込んでいきます。 そうして集まったカードをもとに、各分野の専門家に相談して、一般の人に今後も使われそうな、 また、辞典で引かれることが多そうな言葉を辞典に載せるべく検討いたします。


Q15 「歴史的かなづかい」が分からなくて、古語辞典がうまく引けない

 古語辞典を引くときに、「歴史的かなづかい」での書き表し方がわからないために、 いつも苦労します。何か解決策はないでしょうか。

 古語や古文が現代人にとって近づきがたい存在になっている原因の一つに、 その表記が「歴史的かなづかい」であることがあげられるでしょう。たとえば、

王(おう)→わう
扇(おうぎ)→あふぎ
公(おおやけ)→おほやけ
おかし→をかし
行う(おこなう)→おこなふ
幼し(おさなし)→をさなし
[→の右側が歴史的かなづかい]

などですね。ご覧のようにさまざまで、まさに慣れて覚えるしかありません。  しかし、小社の『全訳古語例解辞典』では、その苦労を軽減するため、 現代語の空見出しを豊富に設けてあります。たとえば、「青」という語を調べたいなら、 まず現代語表記の「あお」を引くと、そこに「→あを」とあり、歴史的かなづかいでは どう書くか、どう引けばよいかがわかるようになっています。こうやって古語辞典 を繰り返し引くうちに、歴史的かなづかいにも慣れてくるのではないでしょうか。


Q16 漢字が何画かわからない

 「糸」は、8画だと思って漢和辞典で探しましたが、見つからず、結局6画のところにありました。 引きたい漢字が何画かというのは、どうやったらわかるのですか。

 漢和辞典を引いた時、自分で思った画数の所にその漢字が出ていなかったということはままあることです。 結論から言えば、自分で思った画数の所にその漢字がなければ、その前後の画数の所を もう一度調べ直すしか方法はないと思います。  漢字の画数の数え方は、基本的には中国清代に作られた「康煕字典(こうきじてん)」の画数に従っています。  しかし、「康煕字典」の画数と、常用漢字などの新字体の画数とを分けて扱っている辞典は少なくありません。 例えば、「臣」は「康煕字典」では6画ですが、常用漢字では普通7画に数えます。  従って、「臨」は常用漢字なので18画(「臣」の7画+「臨」の11画)、 「臥」は表外字(常用漢字以外の漢字)なので8画(「臣」の6画+「人」の2画)と するわけです。もちろん「臥」を9画としている辞典もあります。「糸」も「康煕字典」 では6画とし、書き方によっては「糸」の上の部分はひとつずつ切って書く人もいらっしゃる でしょうから、その書き方では8画となってしまうわけです。  このように各辞典とも編集方針によって画数の数え方が若干異なっており、このことも画数の数え方が難しい原因の一つかと思います。


Q17 くっつくか、突き出るか

 「女」という漢字の右上は、「一」にくっつくのでしょうか。それとも、突き出るのでしょうか。 また、「衣」という字のはね方が、手書きでは印刷文字のようにつき出ないと思いますが、どちらが正しいのですか。

 これらはデザインの違いであって、字体(文字の骨組み)の違いではないので、 どちらを書いても間違いではありません。昭和五十六年(1981)内閣告示の「常用漢字表」( 付)「明朝体活字と筆写の楷書との関係について」にいくつかの具体例があがっています。
● 筆写の楷書では、いろいろな書き方があるという例

● 明朝体活字に特徴的な表現の仕方があるもののうち、折り方に関する例
(印刷上と手書き上の違いの例)


Q18 「々」って何?

 「々」という字はどう読むのですか。 また、これをワープロで出すには、どうしたらいいですか。

 これは漢字の「繰り返し記号」で、「重字」「畳字」ともいい、「おどり字」の一種です。 「同の字点」という呼び方もあり、その字形を分解して「ノマ」と呼ぶこともあります。 この字をワープロで出すには、「どう」「おなじ」と入力して漢字変換をしていけば 何番目かに出てきますし、「のま」で出てくる機種もあります。あるいは、 「色々」「山々」のように入力して「色」「山」だけを消去する、という方法もありますね。 また、JISコードから入力する方法もあります。この「々」については、『現代漢語例解辞典』の 「非漢字部」で詳しく解説しています。


Q19 呉音・漢音・唐音って何?

 漢和辞典にある呉音・漢音・唐音はそれぞれどのようなもので、どのように違うのですか。

 日本語で用いる字音(漢字の音読み)は、中国の字音が変化したものです。  遣隋使・遣唐使などによって伝えられた、7~9世紀の洛陽や長安の字音に由来する音読みを 「漢音」といい、最も広く使用されています。 そして、隋・唐の音が伝わる以前、 古代日本に朝鮮を経て伝えられた、六朝時代の揚子江下流域(呉の地方)の字音を「呉音」 といい、仏教関係の語に多く用いられています。 また、唐末以降も新しい中国音が次々と 伝えられましたが、それらにもとづく字音はまとめて「唐音」とか「宋音」といわれています。

(例)
呉音 : キョウ ギョウ
漢音 : ケイ ガイ コウ トウ
唐音 : キン ウイ アン ジュウ


Q20 漢和辞典の部首の分け方

 漢和辞典の部首の扱い(分け方)がその辞典によって違うようですが、 どうしてですか。

 漢和辞典の部首は、基本的には「康煕字典(こうきじてん)」に従っています。  しかし、「康煕字典」の字(旧字)とは字形が変わっている常用漢字などの新字体等については、 各辞典の監修者・編集委員の判断で部首を決めています。   また、「引きやすさ」を第一に考えて「康煕字典」とは異なった部首にして、 あるいは、新しく部首を考案し、編集している辞典もあります。 「康煕字典」に従った部首では、 漢字の専門家でもその部首がよく分からないという字が多くあり、そのため、 部首は引きやすいものにしようという試みが行われているのです。  部首は一定のものではない、という考えから編集が行われており、その結果、 辞典によって部首が違うという問題がおきていると思われます。


Q21 国字って何?

 「峠(とうげ)」は国字と聞きましたが、 国字とは何ですか。また、どのような字がありますか。

 「国字」とは、漢字の字体にならって日本で作られた文字をいいます。 ふつう訓だけで音読みがありません。「峠」のほか、「裃(かみしも)」 「凩 (こがらし)」「躾(しつけ)」「凧(たこ)」「辻(つじ)」「働」「畑」 「噺(はなし)」など、その数は少なくありません。国字の作られ方は、見ていると楽しいですよ。 風が木の間を吹きすぎるから「凩(こがらし)」、風が止むから「凪(なぎ)」、 身を美しくするから「躾(しつけ)」。「峠」も山の上と下ですね。みなさんも国字を楽しんでください。 なお、『現代漢語例解辞典』別冊付録の「国字一覧」に解説があります。


Q22 「づつ」ではなく「ずつ」?

 『大辞泉』で「万金(まんきん)」の項を見ましたら、 子見出しの「万金丹(まんきんたん)」の用例に「月掛かりの男、― 一角づつに定めて」〈浮・一代女・六〉とありました。 この「づつ」は「ずつ」となるべきではないでしょうか。

 どの辞典にも、巻頭に「凡例」があると思います。 そのなかで、その辞典の編集方針、約束事といったものを述べています。 ご質問の用例の表記についてですが、その答えも凡例にあります。
 本辞典では凡例のなかの「語義解説・二・用例」の(3)に、 「古語には、その語が最も使用された時代の代表的な古典から用例を引くようにした。 この場合の仮名遣いは歴史的仮名遣いを用いた」と記してあります。ご質問の用例は、 江戸時代の浮世草子「好色一代女」のものですので、歴史的仮名遣いによって「ずつ」ではなく「づつ」となっています。